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シズカ楊静(シズカ Yang Jing)
中国琵琶独奏者(Pipa solist)

批評より
 「その創造性で、楊静は音楽の新時代到来を謳歌・賛美してみせる」(秋顛)。
 「白楽天の《琵琶行》を読んで以来、その詩を体現しうる人にいつか会えるかもしれないと夢見てきた私の前に現れた楊静。魅惑的にすらりとして、優しく洗練され、白い衣装をまとって楽器を抱えた姿は、まさに琵琶の妖精。彼女は音楽の詩行で私たちを導く。戦いの場の、荒れ狂う炎の中を疾駆するかと思えば、悲壮の死を、また江南の水郷に浮かぶ小舟の中か、花に囲まれ鳥の囀る天の楽園に遊ぶかのような。」(和氏壁)

  • 「ハイフェッツ並みのクオリティ」(サンデーテレグラフ、マイケル・ケネディ)
  • 「楊静は、三木稔が彼女のために書いた二つの作品で中国古典音楽の堅苦しい伝統を打ち破って見せた。琵琶の可能性は異常に広く、もしビートルズが今存続していたら彼らの楽器となったであろう。」(アドヴァタイザ−、ケイス・ピバス)
  • 「噂には聞いていたが、これほどの名技だったとは。シズカ楊静は、中国、日本、欧米で活躍する、スーパー・テクニックと創造力を備えた中国琵琶のヴィルトゥオーゾ。心を誘う繊細な歌と,虜にする激しい語りに心を奪われた。それに、楊静の即興は創造力に富んでいる」(音楽の友、小倉多美子)

 中国河南省生まれ。6才より琵琶を始め、半年後公的に独奏し才能を知られる。上海音楽院にて琵琶及び作曲を専攻するとともに、伝統音楽理論と古琴を究め、毎年成績優秀者への奨学金を得る。1986年「上海の春」音楽祭にて演奏分野と自作《九連玉》による作曲分野で受賞。以来中国各地や台湾の主なコンクールで、演奏と作曲の最高賞を含む多くの賞を獲得。
 1986年北京の中央民族楽団にソリストとして入団。98年まで同楽団での重要な活動に参加しつつ、並行して、台湾・香港・マカオ・北朝鮮・シンガポール・フィリピンといったアジア地域のみならず、イギリス・ドイツ・スウェーデン・ノールウェイ・オランダ・ベルギー・アメリカ各地でソロ活動とオーケストラや室内楽との競演を続けてきた。その間、毎週土曜日に北京在住の外国人対象に小スペースで行われている中国伝統音楽紹介コンサートなどで、演奏者・コメンテーターとして頻繁に出演。96年以来、北京の音楽拠点北京音楽庁(Beijing Concert Hall)は、年数回、楊静のソロ・コンサートや彼女をリーダーとする人気抜群の民族弦楽四重奏団『郷梅静月』のコンサートを主催。99年11月、中国最大の第1回北京国際音楽祭では、『郷梅静月』が民族楽器を代表して北京音楽庁に超満員の聴衆を得て登場、各マスコミがこぞって報道、同内容のCD(三木の《水廻る》《夕影の詩》を含む)も発売される。楊静は、2000年12月にはスイスのジャズドラマーのピエール・ファーブルとの北京・上海で8回の即興セッションを、毎回異なった演奏でセンセーショナルに果たしCDも作成。2001年6月にはエルサレムでマックス・ローチ(ドラマー)やアーニー・ローレンス・ジャズバンドと共演、CD作成。

 自作は上記《九連玉》のほか《品訴》、94年全国作曲賞一位獲得の《亀慈舞曲》などであったが、96年より作曲を三木稔に師事し、98年には文化庁「海外芸術家招聘研修」の資格を得て来日以来、《断夢敦煌》などの新作に、自在な編曲、そして《間欠泉Geyser》《お酒》といった即興演奏から生まれた作品等、活発な創作意欲を見せている。
 86年以来ソロやコンチェルトの7枚のアルバム(途中よりCD)が中国・香港・台湾でリリースされているが、自作や三木の《江上流韻》《琵琶譚詩》《時の彩りI》を含むソロ曲目のみのCD『品訴』を98年に発売。03年には《お酒》《Wanting》《Lotus Ballad》などの新作を含む10曲の自作品の楽譜とCD(『亀茲舞曲』とタイトルされている)、DVDが上海竜音公司より発売され、関連のコンサートもあって、楊静は本国で一挙に作品・演奏共に最高と認められるようになった。

 世界各地の音楽祭には度々出演しているが、中国中央TV(CCCP)ほか上記海外各国でTVでの演奏も多く、また英語の達者な彼女のライヴ・インタヴューも海外各地で行われている。新聞・音楽誌での彼女の紹介記事も勿論多い。99年9月11日、BBC・PROMSのLast Night Concertに民族楽器奏者として初の出演、BBCウエールズ交響楽団と演奏して大喝采を受ける。2000年春、米サンディエゴの各大学で英語によるレクチャーとコンサートを10日にわたって行い、サンフランシスコで即興のCD録音。6月には、三木稔オペラ第7作《源氏物語》の器楽ソリストとして、セントルイス・オペラ劇場にデビュー、オペラファンに鮮烈な印象を残し、多くの批評に絶賛を受ける。01年9月日生劇場での《源氏物語》日本初演でも同様。

 97年の「上海の春」音楽祭で三木稔の琵琶独奏大曲《江上流韻》を世界初演以来、伝統曲・自作・三木作品をソロ・レパートリーの柱とするリサイタルが国際活動の中心となったが、日本での活動は、98年の銀座王子ホールを最初に、2001年3月の紀尾井ホールまでに日本各地で数十回のソロ・リサイタルを三木のトーク付で行っている。どのコンサートでもほとんど全ての聴衆が「非常によい」「期待以上」とアンケートに回答し、「血がサラリときれいになった」というような表現も含め、熱烈なファンが激増している。01年現在のレパートリーは、『シルクロードに沿って』『日本のメロディー』『琵琶組曲《源氏物語》』といったタイトルに伝統曲・自作・三木作品を織り込み、その音楽性・技術・舞台姿で、日本の聴衆の血を騒がせている。

 コンチェルトは、「オーケストラ・アジア」の97年ツアーで三木の《琵琶協奏曲》のソリストとして日本デビュー。またその西洋オーケストラ版を99年1月25日サントリーホールにおける東京都交響楽団定期演奏会で初演(下記批評参照)、5回のアンコールを受けた。2000年9月には名古屋フィル、02年3月大阪センチュリー響、4月町田フィル(アマチュアオケ初演)と共演、03年3月北京で中国フィルと共演して圧倒的な中国初演を行なった。その後も各地で同協奏曲の演奏予定が続く。00年11月、読売日響依嘱の三木新作《大地の記憶》の初演に『アジアのソリストたち』の一人として登場、クルト・マズア指揮読売日響との競演でもサントリーホールや、みなとみらいホールに強い印象を残した。03年9月、日本作曲家協議会主催の「アジア音楽祭」で莫凡《長恨歌》を東京芸大オーケストラと共演して初演。11月ボストンでも同曲を演奏。

 2002年4月「楊静と結アンサンブル」で初演した三木《東の弧》を持って、同メンバー(琵琶とVn, Vc. Marimba=Percの四重奏)で5月大阪國際室内楽フェスタに参加、世界中からの126団体から選ばれて「フォルクロア特別賞」を受賞。7月、琵琶・尺八・筝のトリオによる「結アンサンブル」で香港・バリ島公演。10月、三木が主宰・芸術監督として発足した「アジア アンサンブル」の中国側音楽監督となり、岡崎コロネット・ホールで最初のコンサートを開く。「アジア アンサンブル」は03年9月〜10月には日本4都市で演奏。楊静は家族が03年夏よりスイスに移住、当然ヨーロッパでの活動が多くなるが、北京にスタジオを持ち、中国・日本で年間の半ば以上の公演を続けたいと意思を強めている。このあと日本でのコンチェルトやコンサートに付いては、このHPのコンサート情報を逐次参照されたい。

 楊静は社会ボランティア活動をも積極的に行っている。例えば98年の中国大水害被害者救援のため、ピアニストと組んでCDを製作、その曲目によるチャリティーコンサートを中国各地・ロンドン・スイスで行い、そこでのCD売上を赤十字を通じて寄付した。01年11月にはニューヨークのテロ犠牲者へのチャリティーコンサートを三木と共に徳島・阿南で行い、NHKで全国に紹介された。

 楊静はYang Jing(ヤンジン)が中国読みであるが、彼女は日本での芸名としてShizukaまたはシズカと呼ばれることを希望している。

日本における主たるマネージメントはジャパン・アーツが行っており、問い合わせはmakihata@japanart.co.jpへ。
なお、三木稔が直接プロデュースするコンサートやオペラへの出演も多く、その関係はm-miki@mtb.biglobe.ne.jpに問い合わせを。

楊静本人のホームページ(英語)は www.yangjingmusic.com
メールアドレスはyang.jing@yangjingmusic.com

1999年1月25日都響定期での批評

  • 協奏曲ではShizuka楊静Yang Jingの弾く中国琵琶の魅力にすっかり圧倒された。バチ無しで義爪だけの弾奏だがその指捌きの鮮やかさは目もくらむばかりで、アルペジオ、グリッサンド、ハーモニックスなど、繊細で多彩な音色はまるで虹のよう。デリケートな詩から情熱的な劇まで、楽器の個性を生かし切った表現力、訴求力に強く惹き込まれた。(結城亨、音楽之友3月号)
  • (三木の)「琵琶協奏曲」、Shizuka楊静Yang Jingによる輝かしい琵琶独奏(長木誠司、朝日2月8日)
  • (三木の)琵琶協奏曲は本来、琵琶独奏と日中韓三国の民族楽器による協奏曲であるが、二管編成のオーケストラ用に編曲、初演された。この作品は、唐時代の詩人白楽天の詩「琵琶行」に触発して書かれ、詩の内容に沿って、音楽も展開される。従って、意識して中国的な響きが用いられているが、形式や作曲語法は西洋音楽のものである。しかしソロの中国琵琶演奏を充分すぎるくらい堪能できるように配慮して構成されている。中国琵琶は日本の琵琶とは異なり、響きのてんでも奏法の面でもむしろ日本の筝に似ている。幼い頃から琵琶を始め、現在プロの奏者として世界で活躍中のShizuka楊静Yang Jingの演奏は実に見事だった。全般的に琵琶のヴィルトゥオーソ的な活躍が目立ったが、例えば第一楽章で静に叙情的に歌われる旋律なども、深さと渋みのある演奏で、楊の力量の大きさが窺われた。(鈴木香桜梨、音楽の世界3月号)

シズカ楊静の短いプロフィールが必要な場合は、下記を使用

シズカ楊静 (Yang Jing)
上海音楽学院にて琵琶及び作曲を専攻、各地のコンクールで、演奏と作曲の最高賞を含む多くの賞を獲得。驚異的な技術・音楽性のみならず、英語能力と先見性で国際的に活躍中。BBC PROMSの「Last Night Concert」に民族楽器奏者として初登場、「ハイフェッツ並みのクオリティー」と評される。欧米ミュージシャンとの即興演奏も多い。三木稔《琵琶協奏曲》を都響・名フィル・大阪センチュリー響・北京の中国フィルなどと共演、聴衆と各批評の絶賛を受ける。オペラ《源氏物語》世界初演などでも同様。作曲を三木稔に師事。本国で全作品出版、演奏がCD、DVD化され、中国琵琶の演奏・作曲とも抜群の天才といわれている。


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