前立腺がん


2009年3月11日 三木稔

一方、発覚以来9年目になる前立腺がんは、ホルモン治療のおかげで、これまで全く普通人のように生活できた。しかしこの療法も一方の薬が必ず効かなくなるときが来るので怖い。今私はその危険水域にいて、今後は女性ホルモン剤が頼りだ。
1月の手術前、その女性ホルモン剤を飲み始めようとしたとき、併用する血サラサラの薬が頭の手術に大きく抵触することがわかって使用できないことになり、効かなくなったホルモン治療の薬で間に合わせて手術に入ったが、手術直後、もしPSA数値が大幅に上がっていたら手が付けられず、自分の運命はどうなるのだ、と脅迫観念に悩まされた。信じられないことだったが2月中旬の採血でPSA数値がわずかながら下がり、後ひと月はそのままのホルモン薬でごまかそうということになり、担当医から「三木さんの執念ですね!」と驚かれた。
3月9日の採血でも不思議や更に下がった。
実はこの8年間、CT,MRI、骨シンチグラム等で各何度調べても転移場所がわからなかった。昨年9月やっと左腸骨に2箇所転移らしい場所が見つかり10回の放射線治療を行った。この結果は半年以降に出ると言われている。12月に集中的に検査をしたが、他には結局どこにも転移していないよう。(この検査の一つ、頭部のMRIで慢性硬膜下血腫が発見された。この集中検査をしなかったら相当な手遅れになっていた)。ただ、もし前立腺内に残っているとすれば、放射線は既に8年前に使い切っているため、もはや使用できない。複数の医者に勧められている特別な手術はあるが、保険が効かず、他の臓器に転移して働けない体になるリスクがあり、周囲に大きな迷惑をかける。仕事が出来ないでは私の存在の意味がない。PSAの動向を見つつ、このがんの古典的宿命に任せるつもりだ。それまでは今までの通り、後の人の心に奉仕する仕事を目一杯やるつもりになっている。


三木 稔